菊池牧場のこと

  • 2017.07.02 Sunday
  • 14:01

 

お客様の要望にこたえられない

もし10人のお客様がいらしたら、鶏肉のモモ肉を10本出す、なんてことはありません。鶏丸ごと2〜3羽を食べてもらおうと考えます。そういう発想が農家には必要だと考えています。同じように、牛や豚を丸ごと食べきるために、定期購入のお客様には、こちらで決めた内容のソーセージをお届けしています。これが好きだからこれだけを食べたい、という要望にはこたえられないのは、そういうことです。材料や部位によっては、1年に1度しか作らないソーセージもあります。季節を感じながら、牛や豚を食べるということは、ロースを食べる、ヒレを食べる、という感覚とは違うのです。

 

身近なもので成り立つ農、競争でなく共生できる農

東日本大震災の時、流通が止まって、普段手に入るものが入らなくなり、食べることが難しい状況になりました。人も牛も。その時、確信しました。より身近なもので成り立つ農、近くで循環できる農、外因に影響されにくい農が大切で強いのだと。

 

本来の農業の強さとは、人間の及ばないところにあるのではないでしょうか。誰かとの競争に勝ったり、収量を増やしたりすることではないように思います。飼料も種も化学肥料も農薬も買わなければならない農業は弱いな、と思うのです。

 

幸い、震災の時、うちには一ヶ月分くらいのストックがあり、人も牛もあまり困ることはありませんでした。牛のエサはその時も今も搾乳牛にだけ、草以外には、盛岡の地ビール工場から出るビールかす、盛岡の米農家さんからの米ぬか、農協から購入しているふすまとビート、量もわずかです。配合飼料は与えていません。

 

色々な植物が共生する牧草地

菊池牧場の牧草地には農薬や化学肥料は使っていません。

日本の牧草地には、牧草以外のものが生えていないことが原則で、数年ごとに更新(プラウをかけて牧草の種を蒔き直す)します。時には、迷惑なアザミや野ばら(ヨモギやススキもすごいけど)がはびこることもありますが、出来るだけ自然を生かしたスイスのような永年牧草地にしたいのです。季節ごとの美しい牧場の風景、ステキだと思いませんか。

 

『抜根して山をならしているところ(左)』と『放牧をはじめた初期の頃(右)』

季節による変化は当たり前

現代の酪農は、輸入飼料に頼り、工業製品的に年中同じ規格の乳成分を求められています。変化は邪魔なのです。

 

菊池牧場は放牧が基本。春には青草を食べるとフンは下痢気味になります。一口に草と言っても、その時々全然違います。夏には夏の、秋には秋の草になり、冬には乾草を食べるので、また、大きく変わります。それと一緒に牛の体調も乳成分も変わります。時代にはそぐわないかもしれませんが、変化を恐れない、自然に即したあり方を求めていきたいといつも考えています。

 

未来の農業への投資

私たちの製品は高いでしょうか。もし、そう思われた方がいらっしゃったら、それは、未来の農業への投資だと考えて頂きたいと思います。

 

農薬や化学肥料を使わず、効率を追い求めないやり方は、手間と時間がかかることなのです。日本の乳牛の年間乳量は8000kg〜10000kgと言われていますが、菊池牧場の牛たちの年間乳量は約半分の量です。

 

また、ソーセージには化学調味料や保存料を使わないことも、より安心で安全なものをお届けしたいからです。でんぷんなどを加えてかさ増ししたりもしていません。

 

品質を大切にした手作りの製品価格は、地球や人、土の健康を守るための寄付であり、大きく言えば、未来の人類への投資なのです。

 

今できる最善を

時々、「こだわっていますよね」と言われます。こだわりというと、○○じゃなきゃダメ!というネガティブな感じがします。

 

こだわり、ではなく、私たちが大切にしたいこと、今できることをやるだけです。もっともっとこうしたい、ああしたい!と常に考えています。

 

常に進化。変化。

楽しみながら。

 

『搾乳室前のホールディングエリア。初期の頃。』

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